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-月刊EQD-

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-月刊EQD-

Yuichiro Hosokawa

<Vol.2>

パークファズサウンド(ヴィンテージファズトーン)

<モデル発表日>

パークファズサウンド:2014年11月

<イントロダクション>

ブランドの創始者であるジェイミー・スティルマンにEQDペダルの開発秘話やオススメの使い方などを紹介してもらいながら、エフェクター研究家である細川雄一郎(CULT)の製品レビューを通して製品の魅力を紹介していく連載『Pedal of the Month -月刊EQD-』。第2回目は、EQDとPark Amplifiersがタッグを組んで開発したパーク・ファズサウンド(ヴィンテージファズトーン)です。

細川雄一郎(CULT)

世界的にその名を知られる国内屈指のエフェクター蒐集家であり、多種多様なエフェクターを取り扱うペダル・ショップCULTを主宰する細川雄一郎。エフェクターに無償の愛を注ぎ続ける彼にEQDのペダルはどのように映っているのでしょうか?

魅力的なビンテージ・サウンドはそのままに
問題点を改良した万能ファズ・ペダル

“パーク”という言葉を耳にした時、皆さんは頭の中で何を思い浮かべますか? 午後のやわらかな陽光、巻き上げられた砂埃の臭い、子供たちのはしゃぐ声と親たちの談笑が混じった喧騒、ふいに鳩が羽ばたく音……平和な風景が目の前に広がる家の近くにある“公園”────ではありませんよね。ええ、もちろん違います。

パークと言えばファズです。

青色のハンマートーン塗装に身を包んだ端正なファズ・ペダル、パークのファズサウンドというモデルを皆さんはご存知でしょうか? 

パークは、基本的にアンプ・ブランドです。というのもパークは、アンプ・メーカーとしてお馴染みのマーシャルが大人の事情で興したサブ・ブランドで、ブランド名は公園を意味する言葉ではなく、ブランド創設のきっかけとなったディストリビューターの家族の名前に由来しています。

パークは、かのトーンベンダーを作ったことで知られるイギリスのソーラ・サウンドに生産を委託し、自社ブランドのファズやワウを少数ながら販売していました。その中でパークのファズ・ペダルは、1960年代後半に誕生し、1970年代半ばまで細々と生産されていたというモデルです。

EQDの創設者であるジェイミー・スティルマンは、希少なパーク製ファズサウンドを所有しており、その個体の音色を現代のフォーマットに落とし込んで再現したのがEQDのパーク・ファズサウンドなのです。

EQDのパーク・ファズサウンドは、オリジナルと同じく、3つのゲルマニウム・トランジスタを使用し、伸びやかなディストーションと荒々しいファズを共存させたような秀逸な音色を生み出します。音の特徴はビッグマフ系にも近いのですが、それよりもファズの風味が強く、ちゃんとビンテージ・ペダルのような“古臭さ”を感じます。

EQDのペダルはどれもコントロールや機能に無駄がないのですが、このEQDパーク・ファズサウンドはビンテージの実物を踏襲しているためか、操作感もしっかりビンテージ的です。例えば、高域と低域を同時に変化させる“Treble Bassコントロール”の可変幅が必要以上に広いところや、歪み量を調整するFuzzコントロールが最大付近で急に大きく変化するところは、ビンテージの個体と酷似しています。ただし、オリジナルの個体に見られる“音量の小ささ”はしっかりと改善されており、大迫力の爆音を叩き出してくれます。オリジナルの個体は音量が非常に小さいため、ローゲインで使おうとすると蚊が飛んでいるくらいの音量にしかなりませんが、このEQDのペダルならまったく問題ありません。

ビンテージ・ライクな音のファズが欲しいというライトなニーズから、オリジナルのビンテージ・ペダルを所有しているような稀有なエフェクター・マニアの欲求にも対応するバランスの良いファズ・ペダルだと言えるでしょう。

細川さんをEQDの本社、オハイオ州のアクロンにお招きして彼も所有するビンテージのPark Fuzzとの比較を行いました!

 <ジェイミーからのコメント>

ジェイミー・スティルマン(EQD代表)

ジェイミー・スティルマン(EQD代表)

EQDの創立者であり、さまざまなバンドで演奏を楽しんでいるプレイヤーでもあるジェイミー・スティルマン。独創的なアイデアをペダルとして具現化させている彼に、パーク・ファズサウンドの開発背景について語ってもらいました。

パーク・ファズサウンドの再開発を
手がけられることは誇りでした

私がこのペダルを開発していた当時、パーク・アンプの権利はColby Amplificationsが所有していました(2024年現在はHIWATTが所有)。そしてブランドを再スタートさせたColby Amplificationsの代表であるMitch Colbyは、アンプの復刻を手掛けるのと同時にパーク・ファズサウンドをリイシューできる技術を持った人を探していました。そんな折、我々の従業員のひとりがEQDとColby社を引き合わせてくれたことがきっかけで、私がそのタスクを引き受けることになったんです。

私はビンテージ・ファズ・ペダルの大ファンなので、現代の音楽シーンでも使用できるパーク・ファズサウンドの再開発を手がけられることは“誇り”でしかありませんでした。

ペダルの再開発は、まずオリジナル・モデルを探すところから始めました。ですが、そう簡単に見つかるわけはありません。ようやく状態の良い個体を入手すると、次はそのペダルをもとに現在も入手しやすいパーツを使ってオリジナルのパーク・ファズサウンドと同じような音色を作り出すための試行錯誤が始まりました。結果的に、完全復刻とはなりませんでしたが、私が所有するパーク・ファズサウンドと同じ素晴らしいサウンドに仕上がりました。その際、私はオリジナルよりも歪むようにファズの量を多くしました。

いつかオリジナルと同じ“Coolすぎる”筐体でリリースしたい

このペダルを発売するにあたり、ひとつ問題点がありました。それは、パークというブランドの商標を日本とヨーロッパの数ヵ国で使用することができなかったのです。その解決法として、私たちは当初“Colby Fuzz”というモデル名で販売しました。ですが、伝説の楽器ブランドである“パーク”の名が持っている歴史的な重みはありませんでした。ですが、のちにMitch ColbyがParkの権利を手放すと、次の所有者が各国で商標登録を済ませたため、今では全世界で“パーク”というブランド名を冠してペダルを販売することができるようになったのです。

発売してからも、入手可能なトランジスタを使いながら製品のアップデートと微調整を行なってきましたが、サウンド自体は今もほぼ変わっていません。いつかオリジナルと同じ筐体でリリースしたいですね。 なぜなら、あの筐体は、“Cool”すぎますから。

そしていつものことですが、このパーク・ファズサウンドはどんな機材とも合いますよ。特に、パーク・ファズサウンドに爆音のマーシャル・アンプとレス・ポールを組み合わせたコンビネーションは最強でしょう。

ギターリスト、べにまるさんのPark Fuzzのデモビデオ。歪みの質感を細かくチェックできます!

Jason Bonham's Led Zeppelin Evening (JBLZE)でジミーペイジ役をこなす桜井さん、Mr JimmyがPark Fuzzの音に肉薄します!注:ペダルは撮影当時の大人の事情で”Colby"となっております。


細川雄一郎(CULT)

大手楽器店にて約10年間、エフェクターの専任として勤務し、多くの著名なプロミュージシャンから信頼を集め、2016年に独立。並行して担当していた専門誌での連載コラム、各種ムック本などでの執筆活動を続けながら、ギターテックとしても活動。エフェクターのコレクターとしても世界に名を知られており、自身のエフェクター専門ウェブショップ“CULT”を2018年にオープンし、2020年には自身のコレクションに関する書籍『CULT of Pedals』を執筆、リットーミュージックより出版された。ペダル以外にハンバーガーをこよなく愛し、ハンバーガーに関する書籍などにも登場することがある。

 

 尾藤雅哉

2005年にリットーミュージック『ギター・マガジン』編集部でキャリアをスタートし、2014年からは『ギター・マガジン』編集長、2019年には同誌プロデューサーを歴任。担当編集書籍として『アベフトシ / THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』、『CULT of Pedal』など。2021年に独立し、真島昌利『ROCK&ROLL RECORDER』、チバユウスケ『EVE OF DESTRUCTION』、古市コータロー『Heroes In My Life』の企画・編集を手がける。2024年には、コンテンツ・カンパニー“BITTERS.inc”を設立。

 

西槇太一 

1980年東京生まれ。8年間ほどミュージシャンのマネージメント経験を経て、フォトグラファーに転身。スタジアムからライブハウスまで、さまざまなアーティストのライブで巻き起こる熱狂の瞬間を記録した写真の数々は、多方面から大きな支持を集めている。またミュージシャンの宣材写真やCDを始めとする音楽作品のジャケット、さらには楽器メーカーの製品写真の撮影なども手がけるなど、音楽シーンを中心に精力的に活動中。また自身のライフワークとして撮り続けている“家族写真”にスポットを当てた個展も不定期に開催している。