Aaron’s Bass Hole – Space Spiral
takahiro tozawa
ジェイミーが今年(2017年)のNAMMの新作はDark Modulated Delayになるって発表した時はピンと来たんだ。勝手に想像した(Geddy Leeの事を考えていて)会話はこんな感じになってたはず。
“たったの600msだって?良いじゃん、俺はショートディレイ好きだよ...”
“短めのディレイはリズムセクションに属してる人にはちょうど良いみたいだね。恐らく、ベーシスト?”
“モジュレーション搭載?もう少し教えて...”
“LFOの波形も変化させられるの?それなら、欲しいね”
“カラオケマシーンのチップ使ってるの?!買うわ!”
ベースを弾くときは、暗いディレイの方が好みだと思うんだ。何故かというと、(ベースを弾いたときの)出るノートの粒が良いんだ。あとリピートがデジタルの明るいディレイの時に起こる音のぶつかり合いも無いし。これは、スペイシーに行きたいけど、タップテンポに気を捕われないでドラマーともきっちり合わせて行きたいって時に重要で。だってタップテンポ使う時間有るヤツなんて居るの?!
そんな感じで、結果的にスペーススパイラル の“ダークでドリーミー”、モジュレーション付きのディレイってのがいつも欲しかったヤツだったんだ。
この6つのノブで、目の眩む様な音だったり、夢を見させられている様な音も引き出せるよ。昔のテープのスラップバックやピッチのズレちゃうオイル缶エコーの音。ダブの様な濃い発振や、波形のシフトも可能で、音がぶよぶよに変化する物にも。お化け屋敷の鏡部屋に居る様な感じで。それでは、中を見てみよう。
Controls
上の段でスペールスパイラルのディレイの部分の設定。ご存知の通りTimeでディレイタイムの設定出来、最小30msから。これはダブルトラッキングの様な効果が出る様なタイム。最大で600ms。Live at Pomeiiのカバーがやりたい人にはぴったりの音が出るよ。
次はRepeats。これは反響の回数の設定と発振も。低い設定で、トラディショナルなエコーって感じ。でもそこから、3時暗位の方向に回すと、面白い事が出来るんだ。2:30から2:45位の間位から、エコーの反響が重なり始めて発振するんだ。さらにそれにモジュエーションを掛けると、リバーブともディレイとも言えない何とも不思議な音になるんだ。ディレイタイムを短くすると特に効果的で、Mixを利用してバランスの取れる所を探してみて。
下段はスペーススパイラルのモジュエーション部。Depthでモジュレーションの深さを設定出来て、リピート(ウェットシグナル)部分に効く。コーラスの様に薄くも出来るし、半音分のピッチベンドも可能。ShapeでLFOの波形の設定。柔らかいトライアングルからギザギザのスクエアまで断続的に変化をさせる事が出来るよ。RateでLFOのスピードの調整。遅い設定でリピートに厚みを付けても良いし、逆に速い設定でディレイにビブラートが掛かってる様にする事も可能。
少し時間を掛けてTime、Shape、Rateがお互いにどう作用するか勉強してみてください。RateとTime、お互いのセッティングの違いを楽しんでみたり。柔らかい波形を使う事によって滑らかなピッチの揺れが再現出来、逆にスクエアウェーブで、タイムをうまく合わせれば、音がピッチ間をジャンプする様な効果を生む事が出来ますよ。
サウンドサンプル
各サンプルはElectrical Guitar Company のSeries Oneベースで行っており、Tronographic社製のRusty BoxとTech 21のSansAmp RBIで行っています。
サンプル1 (Example 1)少し長めのディレイタイムでスタッカートで弾くパターンに揺れる様なシンコペーションを与えます。スペーススパイラルがノート間の隙間を埋めて、この平凡なパターンにも少し跳ねた感じを与えます。
サンプル2 (Example 2)同じ様なアプローチですがこれはリピートを最小にして、Shapeをトライアングルに近い形にしています。それによってヌメっとしたピッチベンドをディレイに与えます。これで「あっ、宇宙空間に引きずり込まれたな」って。三連符の最初の二つのノートはピッキングしてますが、スペーススパイラルが最後のノートをエグくしています。
サンプル3 (Example 3)これはTimeを一番最小に下げて、Repeatsを発振寸前の所まで上げています。ディレイともレリバーブとも取れない奇妙な音になっています。
サンプル4 (Example 4)モジュレーションを最小限に控えています。ね?普通なナイスなサウンドも出るでしょ?
確かに、モジュレーションディレイは市場に沢山出ていますが、上記のサンプル以外のサウンドも色々出せますので是非試してください!
Aaron Rogers (アーロン・ロジャース)アースクエイカーのPRでコピーライター。フリーランスのサウンドエンジニアとしても活躍し、バンドUltrasphinxでベースを担当。